結論:原則は「横が先」、ただし例外がある
縦の線と横の線が交わるとき、どちらを先に書くか。答えを先に言うと、原則は「横画が先」です。いちばんシンプルな例が「十」で、 1画目に横、2画目に縦を書きます。
ただし、漢字の筆順はこの原則だけでは説明しきれません。「馬」や「長」のように 縦から書き始める字もあります。この記事では、学校で筆順指導のよりどころとされてきた 「筆順指導の手びき」(文部省、1958年)の考え方に沿って、原則と代表的な例外を整理します。
大原則:上から下へ、左から右へ
個別のルールの前に、筆順全体を貫く2つの大原則があります。
- 上から下へ書く(「三」は上の横棒から)
- 左から右へ書く(「川」は左の縦棒から)
「横が先か、縦が先か」という問いは、この大原則の下にあるより細かいルールです。 迷ったときは、まず「上から下、左から右」に戻って考えると整理しやすくなります。
原則1:横画と縦画が交わるときは横が先(十・土)
「十」は 1画目が横、2画目が縦。「土」も 上の横→縦→下の横の順です。多くの漢字はこのパターンに従います。
原則2:全体をつらぬく縦画は最後(中・車・書)
縦の線が字の中央を上から下までつらぬく形では、その縦画を最後に書きます。
「書」(10画)の 上半分も同じ考え方です。1画目は右上の折れ(横に書いて下へ折れる線)、 2〜5画目で横画を上から順に書き、6画目でようやく中央の縦を通します。 下の「日」は7画目の左の縦→8画目の折れ→9画目・10画目の横の順です。 「書」で縦を先に書いてしまう間違いは多いとされていますが、 「横をぜんぶ書いてから、最後に縦でつらぬく」と覚えれば迷いません。
「王」は縦が2画目
「王」(4画)は 横→縦→横→横の順で、縦画は2画目です。縦が下の横棒を突き抜けない形なので、 「つらぬく縦画は最後」のルールには当てはまらない、と一般に説明されます。 「主」「玉」も同じ仲間です。
例外:縦から書き始める「馬」と「長」
「馬」(10画)は1画目が左側の縦画です。続いて2画目に上の横、3画目に中の縦、 4・5画目に横を2本、6画目に右側を囲む大きな折れ(最後にはねる)、 7〜10画目に下の点を左から4つ打ちます。
「長」(8画)も1画目は左上の縦画。2〜4画目に短い横を上から3本、5画目に左へ突き出る長い横、 6画目に下の縦(最後に右上へはね上げます)、7画目に左払い、8画目に右払いです。
どちらも小学2年生で習う漢字です(2年生の漢字一覧はこちら)。 「横が先」の原則を覚えたあとにこの2字に出会うと混乱しやすいので、 「馬と長は縦から」とセットで覚えてしまうのがおすすめです。
「田」の中は縦が先
「田」(5画)は、 1画目に外枠の左の縦、2画目に上から右をまわる折れを書いて枠を作り、3画目に中の縦、4画目に中の横、5画目に下の横で閉じます。 中の「十」の部分は縦→横の順で、ここも「横が先」の原則の例外にあたります。
筆順は「唯一の正解」ではない
学校で教わる筆順のもとになっている「筆順指導の手びき」は、 学習指導の混乱を避けるために標準を示したものであり、そこに示された以外の筆順を誤りと決めつけるものではないと明記しています。 書道の伝統などでは違う順序が使われることもあります。 とはいえ、標準の筆順は字形を整えやすいように考えられているので、 学習の基本としてまず身につけておく価値は十分にあります。
それぞれの漢字のページでは1画ずつのアニメーションで筆順を確認できます。 覚えたつもりの字も、書き順クイズで 一度チェックしてみてください。