結論:「右」は払いが先、「左」は横棒が先
「右」と「左」は、どちらも上に「ノ」と「一」を組み合わせた形(𠂇)を持つ、よく似た漢字です。 それなのに、学校で教わる書き順では1画目が違います。
右(5画)
- 1画目:ノ(左払い)
- 2画目:一(横画)
- 3画目:口の左の縦画
- 4画目:口の上から右への折れ
- 5画目:口の下の横画
左(5画)
- 1画目:一(横画)
- 2画目:ノ(左払い)
- 3画目:工の上の横画
- 4画目:工の縦画
- 5画目:工の下の横画
つまり、出だしがちょうど反対なのです。実際の筆の動きは、「右」の書き順アニメーションと「左」の書き順アニメーションで1画ずつ確認できます。
なぜ1画目が違うの? 字の形をよく見ると分かる
鍵になるのは、「ノ」と「一」の長さのバランスです。2つの字を並べてよく見てみてください。
- 「右」は、横画(一)が長く、払い(ノ)は短めです。
- 「左」は、払い(ノ)が長く伸び、横画(一)は短めです。
一般に、こうした形では「短い画を先に書き、長い画をあとにゆったり書くと形が整いやすい」と説明されます。 右は短い払いを先に、長い横画をあとに。左は短い横画を先に、長い払いをあとに。 あとに書く画のほうが長い、と考えると2つの書き順はきれいにつながります。
また、字源の面からは、篆書(古い書体)の時代の筆の流れの違いが楷書の筆順に受け継がれた、 という説明もよくなされます。「右」と「左」はもともと右手・左手をかたどった字で、 手の向きが逆であるため筆の運びも逆になった、と一般に説明されています。 いずれも「そう説明されることが多い」という性質のものですが、 形のバランスとあわせて知っておくと納得しやすいはずです。
学校の書き順のよりどころ:「筆順指導の手びき」
学校で教わる書き順は、1958年(昭和33年)に文部省が示した「筆順指導の手びき」が基準になっています。 「右は払いから、左は横から」という書き順も、この手びきに沿って指導されるものです。
ただし手びき自体は、「ここに取りあげた筆順以外のものを誤りとするものではない」という趣旨を明記しています。 書写の伝統の中には別の順で書く流儀もあり、それらを「間違い」と断じているわけではありません。 学校のテストや練習では手びきの順で書くのが基本、と押さえておけば十分です。
間違えやすいパターン
- 「右」も「左」も横画から書いてしまう(右の1画目は払いです)
- 「右」も「左」も払いから書いてしまう(左の1画目は横画です)
- どちらか一方だけ覚えていて、もう一方をそれに引きずられて書いてしまう
似た形なのでどちらかに統一したくなるのが自然ですが、この2字は「反対」とセットで覚えるのがコツです。 なお似た形を含む他の字では、「有」は右と同じく払いが先、 「友」「存」「在」は左と同じく横画が先と、それぞれの字ごとに指導される順が決まっています。
覚え方・練習のしかた
覚え方のヒント
- 「あとに書く画のほうが長い」——右は横画が、左は払いが長い
- 「みぎのノ、ひだりのイチが先」と口に出してリズムで覚える
- 書き出しの1画目だけを何度もなぞって、手に覚えさせる
「右」「左」はどちらも小学1年生で習う漢字です。習いたての時期に1画目を正しく身につけておくと、あとで直す苦労がありません。 アニメーションを見ながら指で空書きし、覚えたつもりになったら書き順クイズで確かめてみてください。
練習するときは、1文字ずつばらばらに書くより、「左右」「右手と左手」「右にまがる、左にまがる」のように 2字をセットにした言葉や短い文で書くのがおすすめです。右と左を続けて書くと、 書き出しが反対であることを毎回手が思い出してくれるので、記憶がまざりにくくなります。 ノートのすみに「右左右左…」と交互に書いてみるだけでも、よい練習になります。
まとめ
- 「右」は1画目がノ(左払い)、2画目が一(横画)
- 「左」は1画目が一(横画)、2画目がノ(左払い)
- 「あとに書く画のほうが長い」と考えると整理しやすい
- 学校の書き順は「筆順指導の手びき」が基準。ただし他の伝統的な筆順を誤りとする趣旨ではない